一時帰国の短期間だけ住民票を入れられるかや入れるデメリットを知りたい人向け。
海外在住をしている人にとって待ち遠しいのが、一時帰国。
一時帰国の間にやりたいことリストがたくさんたまっていませんか?そのリストの一つに、歯が痛いので歯医者に通いたいというケースがよくあるでしょう。
しかも、住民票を抜いて住民登録をしていない場合には、負担が全額になるので、一時帰国の間だけ住民票を入れようと考えている人もいると思います。
但し、住民票を短期間だけ入れて出すことに問題はないのでしょうか?そもそも住民票は一時帰国で入れられるのでしょうか?
そこで、今回は「一時帰国で住民票を入れる3つのデメリットとは?」をご紹介します。
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一時帰国で住民票を入られるかは自治体の判断しだい
一時帰国で住民票を入れることができるかどうかは、自治体によって対応が異なります。
日本から国外に転出する際には海外転出届が必要になりますが、1年以上を海外で居住する場合が目安です。
ただ、逆に国外から日本に転入する場合は居住期間には規定がないので、管轄する自治体によっては短期間の住民登録を受け入れを拒否される場合があると聞きました。
「3週間以上を日本で滞在しなければ住民登録ができない」や「転入時に居住期間を確認する」場合もあります。
例えば、下記の回答がされています。
海外へ転出された方が帰国して、逗子市に住所を定めた場合には、次の書類をお持ちいただき14日以内に転入手続きを行わなければなりません。
・パスポート(転入される方全員分)
・戸籍謄本
・戸籍の附票の写し ※逗子市に本籍がありましたら、戸籍謄本及び戸籍の附票の写しは必要ありません。
ただし、国外へ転出し、その後一時的に帰国した場合で、再び国外へ戻るような場合には主たる居所が国外であり国外に住所があるものとして扱いますので、原則、転入の届出があっても住民登録を受け付けることはできません。出典:逗子市
他の市ホームページでも以下の回答がありました。
国民健康保険への加入条件として、住民票を登録し、生活の拠点を本市とし引き続き定住する予定・意志があることが必要です。今回お問い合わせにあるように、「一時帰国(約一カ月程度滞在)」となりますと継続して本市に住む予定がないものとして、滞在期間中の国民健康保険への加入は難しいと思料致します。
よって、海外保険に加入することをご検討頂きたく存じます。出典:宜野湾市
このように住民登録の管轄は市町村などの自治体であるため、国からの方針などは出ていないためです。自治体の独自で判断されることになります。
一時帰国で住民票を入れる非居住者の理由
一時帰国で住民票を入れて住民登録をして、日本から出国する前後で抜いて抹消する人もいます。
では、なぜ短期間で住民票を入れる必要があるのか?
それは、相続の遺産分割協議書作成や不動産の購入・売却のための印鑑証明を取るためなどがあるので、その人によって住民票を入れたい理由は違うでしょう。
その中でも、一時帰国で住民票を入れたい理由として多いのが、国民健康保険を使うためです。
日本非居住者は住民票がなくなるのと同時に、国民健康保険の資格も抹消されます。そのため、保険証などが使えず、負担が10割の全額になります。
もし、国保を利用すると原則として3割負担で済むので、一時帰国で住民票を入れたいと思っている人が多いのが実情です。
ただ、簡単に一時帰国で住民票を入れるといっても、デメリットを知っておかないと後で困ることになるかもしれません。
一時帰国で住民票を入れる3つのデメリット
一時帰国で住民票を入れるのは、以下の3つのデメリットがあります。
- 1.国民年金の加入及び年金保険料の支払い
- 2.国民健康保険の加入及び保険料の支払い
- 3.住民税の納税
それでは、詳しく3つのデメリットについて紹介します。
1.国民年金の加入及び年金保険料の支払い
国民年金は日本居住で20歳以上であれば強制加入になるため、国民年金保険料を支払わなくてはなりません。
国民年金保険料は月単位で請求されるため、短期間の転入でも支払う必要があることになります。
現在の1か月当たりの国民年金保険料は約1万6千円(2020年度)で、納付期限は「納付対象月の翌月末日」と定められています。
2.国民健康保険の加入及び保険料の支払い
国民健康保険は日本の居住者であれば強制加入となります。そのため、原則として国民健康保険の保険料を支払いが必要になります。
但し、国民健康保険料は昨年の所得によって加入した月から保険料が算出されるため、請求されるのは加入月の翌月となります。
つまり、仮に住民票を入れて国民健康保険を月内で使用して、月末までに抹消すると国民健康保険料が発生しないことになります。
3.住民税の納税
住民税の課税のタイミングは、1月1日時点で住民登録をしているかどうかで判定されます。
そのため、原則1月1日を挟まない短期間の転入では住民税が課税されない可能性があります。
ただし、住民税が課されるかどうかは自治体の判断になるので、必ず課税されないとは言い切れません。
一時帰国で住民票を入れるとマイナンバーが発行される
住民登録をして住民票の転入した倍には届け出の住所に、後日マイナンバーカード交付申請が届きます。
そのマイナンバーカード交付申請書に必要事項を記入し顔写真を貼付の上、同封されている返信用封筒に入れて郵送により申請することになります。
申請後、約1ヶ月で各市町村から交付準備ができたお知らせする「個人番号カード交付通知書」が届きます。
現在、マイナンバーカードはカードの申請・取得の義務はありませんが、今後、銀行口座の開設やアルバイトの応募などにも必要になることが予想されています。
発行したタイミングで既に国外にいる場合には委任状などがあれば代理人が受け取ることができます。非居住者になったからといってマイナンバーが消失するわけではないのことに注意しましょう。
一時帰国で住民票を入れた以降も日本居住の判定される可能性も
上記で、一時帰国で住民票を入れるデメリットを紹介しました。それに関連して知っておかなければいけないのが、一時帰国で住民票を入れたタイミングから日本居住の判定がされる可能性があることです。
つまり、日本に居住している実態がなくても日本居住の判定がされて、一時帰国で住民票を入れた以降の国民年金・国民健康保険・住民税の支払いが請求されるかもしれないということです。
これは、あくまでも各自治体の判断によるものなので、必ず請求されるわけではありません。
一時帰国で住民票を入れるデメリットまとめ
今回のコラムでは、「【海外移住FPが回答】一時帰国で住民票を入れる3つのデメリットとは?」をご紹介しました。
一時帰国で住民票を出し入れできるかどうかは市区町村によって対応が異なりますが、最近は拒否される場合も多いとされています。
仮に、住民票を入れることができたとしても「国民健康保険」と「国民年金」の加入、そして「住民税の納税」が義務となります。
場合によっては、最初の転入時にさかのぼって、国保・住民税・国保の支払いがまとめて請求される可能性もあります。
そのため、安易な一時帰国での住民票の出し入れはやめておきましょう。