海外在住になると国民健康保険や健康保険がどうなるかを知りたい人向け。
海外移住で心配になるのは、「国民健康保険や健康保険に加入ができるどうか」でしょう。
自営業者やフリーターなどが加入するのが、国民健康保険。そして、サラリーマンなどの会社員が加入するのが、健康保険です。
ただ、海外赴任やワーキングホリデー、海外留学、現地就職などで海外在住になると加入し続けることはできるのでしょうか?
もし、国民健康保険や健康保険が加入できるのであれば、海外で使えるのかどうかも気になりますよね。
そこで、今回は「【海外移住FPが回答】海外在住なら国民健康保険や健康保険はどうなる?知っておきたい公的保険」をご紹介します。
タップできる目次
海外在住の国民健康保険や健康保険の考え方
結論は、住民登録を抹消すると国民健康保険や健康保険は強制脱退になります。
住民登録を抹消する場合
登録を抹消すると日本の非居住者扱いになるため、強制的に脱退しなければいけません。そのため、国民健康保険や健康保険の保険料を支払う義務もなくなります。
住民登録を抹消しない場合
登録を抹消しなければ日本居住者扱いになるため、引き続き国民健康保険や健康保険に加入することができます。特に、海外赴任で海外在住者になる場合は日本の企業に所属されることになるため、一般的には健康保険が引き続き適用になります。
もちろん、海外在住でも日本居住の時と同様に国民健康保険や健康保険の保険料を納める必要があります。さらに、原則として国民年金保険料や住民税の支払いも必要になるので注意が必要です。
ここで、気になるのが住民登録を抹消するかどうかでしょうか。もし、海外赴任ではなく、登録を抹消せずに海外在住になると保険料はどのくらい払う必要があるのでしょうか?
住民登録を抹消しない場合の国民健康保険料
国民健康保険の保険料は国民年金のような定額ではなく、世帯主(本人)を含む世帯の所得によって異なります。
市町村によっても計算方法が若干違いますが、一般的には下記の手順によります。
- 1.総所得金額等(前年1月~12月)を元に算定基礎額が決められる
- 2.算定基礎額を基準として「所得割額」と「均等割額」を算出される
- 3.40歳から64歳までの被保険者には介護額が加算される
以上のように決められた保険料は4月に確定し、6月頃に納付書が送られ、翌年3月までの10回で納付か口座振替で支払うことになります。
簡単に言うと、所得がない場合は算定基礎額や所得割がないので、扶養者がいない場合で月額約2,000~3,000円程になります。
ただし、海外で得た所得に対しても日本で確定申告が必要(全世界課税制度)なので、日本の企業で源泉徴収にならない場合には税務署で所得を申告する必要があります。
住民登録を抹消して海外移住をして渡航後の必要な時に一時帰国で登録すればいいじゃないの?と思われがちですが、一時帰国で加入はできるのでしょうか。
一時帰国で国民健康保険に加入する際の注意点
結論は、管轄する市町村の役場によって対応が異なるといえます。
一時帰国で国民健康保険に加入する際の注意点は、以下のとおりです。
- 1.加入できるかどうかは自治体の判断による
- 2.住民登録後に国保の手続きが必要になる
- 3.国民健康保険料以外にも支払いが発生する
1.加入できるかどうかは自治体の判断による
一時帰国などで国民健康保険を加入するためには住民登録が必要になります。その住民登録を一時帰国の短期間では市役所が拒否する場合もあります。
市役所などによって対応が異なる理由は、住民登録の許認可は各自治体にゆだねられているためです。そのため、事前に自治体に確認しておくほうがいいでしょう。
2.住民登録後に国保の手続きが必要
住民登録をすると市役所などで国民健康保険の手続きが必要になります。その際、国民健康保険料が計算され、後日、保険証と共に納付書が郵送されます。その場で口座振替やクレジットカードを指定すると保険証のみとなります。
3.国民健康保険料以外にも支払いが発生する
住民登録をすると、国民健康保険料以外にも原則として国民年金保険料の支払いや住民税の納税義務が発生します。
さらに、国民健康保険料は昨年度の所得によって加入した月から保険料が算出されるため、請求は加入月の翌月となります。
そのため、滞在期間やタイミングによっては保険料を払わずに保険を使うことになるので批判が出ているのも事実です。
海外移住や海外在住の保険についてのよくある質問
国民健康保険に任意で加入できるの?
住民登録を抹消すると公的年金と同様に国民年金も加入義務がなくなります。ただし、国民年金を続けたい方には「任意加入制度」を使うことができます。
ところが、国民健康保険の場合は、国民健康保険料を払い続けたいと思っても「任意制度はない」ので強制脱退になります。
海外移住前の国民健康保険手続きは?
保険者が市町村であるため、住民登録を抹消すると自動的に国民健康保険の脱退となるため、特別な手続きは必要ありません。
もし、会社員などで海外移住の前に会社を退職される方は、先に健康保険から国民健康保険へ切り替える手続きが必要です。保険証の返却も忘れにないようにしましょう。
海外でも退職者は任意継続被保険者になれる?
任意継続被保険とは、会社を退職してからも国民健康保険ではなく健康保険に加入する事ができます。では、国保ではなく健康保険なのか?
実は任意継続被保険者になるほうが国保の保険料よりも安くなることがあります。実際に私の場合は年間で約12万円安くなりました。
但し、任意継続被保険は国民健康保険と同様に、日本の非居住者になると加入できないので注意しましょう。
健康保険の被保険者期間が継続2ヶ月以上あり、 退職の翌日から20日以内に手続きが必要です。
もし海外移住の移動中にケガをしたら?
住民登録を残したまま渡航する場合には、海外療養費を請求することができる場合もあります。日本で一般的にかかる費用までを負担してもらえる制度です。
一方、住民登録を抹消すると公的保険は未加入になるので、民間の海外旅行保険に加入するか、クレジットカードの海外旅行保険を使うかを検討しておきましょう。
>>>【比較表あり】海外移住FPおすすめのクレジットカード5選!海外に持っていくカードは? 2021年版

海外在住者の保険はどうすればいいの?
住民登録を抹消すると国民健康保険は脱退になるため、一般的に移住先の公的保険か私的保険に加入することなります。
但し、日本で既に加入している医療保険については移住後も適用になる場合があるので、事前に保険会社に確認しておきましょう。
>>>【海外移住FPが回答】海外在住なら生命保険や医療保険はどうなる?知っておきたい私的保険

海外在住の国民健康保険や健康保険の考え方まとめ
今回のコラムでは、「【海外移住FPが回答】海外在住なら国民健康保険や健康保険はどうなる?知っておきたい公的保険」をご紹介しました。
海外移住で住民登録を抹消するかどうかで公的保険が使えるかどうかが変わってきます。
そのため、抹消しないままにしたいという気持ちもわかりますが、国民年金料や住民税の支払いなども関係してくるので、住民登録を抹消するかどうかをよく考えるべきです。
日本で既に加入している生命保険や医療保険は海外移住後も適用可能な保険会社が多いので、保険料の継続的な支払い額や保障内容の見直しをおすすめします。