海外移住でも雇用保険(失業保険)や再就職手当が受けられるか知りたい人向け。
雇用保険は、公的保険制度の一種。失業中の不安を解消するための給付や就職するためのスキルを向上させるための給付などを行っています。
そのなかでも雇用保険の手当、いわゆる失業手当(基本手当)は失業した場合や自己都合の退職した場合に受給することができます。
但し、海外に移住することになっても失業手当は受給できるのでしょうか?
そこで、今回は「海外に移住すると雇用保険や失業保険はどうなる?」をご紹介します。
このコラムでは、「海外移住後でも失業手当が受給できるかどうか」や「再就職手当が受給できるかどうか」が分かります。
海外移住前に利用できる雇用保険の基礎知識を知っておきましょう!
タップできる目次
退職後の移住でも雇用保険(失業保険)は受けられる?
雇用保険は住民登録を抹消するしないにかかわらず、受給条件がクリアされていれば適用になります。
ただし、雇用保険制度には様々な給付「失業保険」「再就職手当」「教育訓練給付制度」などによって適用条件があります。
それでは、一般的な雇用保険制度についてご紹介します。
海外移住後でも失業保険はもらえるの?
仮に会社を退職後に移住をすることになっても、海外在住でも失業給付を受給することができますが、条件があります。
失業手当が受け取れる雇用保険の条件は、原則として離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あること(特例特定理由離職者は除く)。
ただし、雇用保険の失業受給には、原則として給付制限期間後は4週間に1度、失業の認定(失業状態にあることの確認)をハローワークにて行う必要があります。
そのため、4週に1度、本人が日本への帰国が必要ということになるので、海外へ移住した後に受給するのは物理的に難しいでしょう。
海外で仕事を見つけても再就職手当は支給できる?
退職後、すぐに再就職しない場合は「再就職手当」が給付されます。
これは、給付を受けてから再就職してしまうことは就職意欲をそぐことになるため、基本手当を受給する前や途中で再就職した人に手当が支給されます。
では、海外就職をした場合はどうなるのかというと、日本国外の企業で日本の雇用保険制度に則ってなければ支給されません。
これは再就職手当の要件に雇用保険の被保険者資格取得が明示されているためです。
現地採用でも現地法人の社員である場合も、日本の雇用保険制度でないので為に雇用保険は適用されないことになります。
配偶者の海外赴任なら延長の特例あり
通常、雇用保険の受給期間は離職の翌日から1年間と限られており、離職してから1年を超えてしまうと雇用保険の給付が受けられなくなります。
但し、60歳以上の定年等による離職や、病気やケガ・妊娠・出産・育児・病人の看護・配偶者の海外赴任に伴う同行などの理由ですぐに働けない場合は、雇用保険の基本雇用保険の受給を保留する受給期間延長の手続きができる可能性があります。
ただし、受給期間を延長すると通常1年の受給期間を最大3年間(又は1年間)伸ばすことができますが、受給日数が増えるわけでありません。
上記の理由により引き続き30日以上職業に就くことができなくなった日の翌日から起算して1か月以内に住所又は居所を管轄するハローワークに届け出ます。
必要な書類や手続き方法は、お近くのハローワークでご確認ください。
関連サイト:全国ハローワークの所在案内(厚生労働省)
海外移住前に活用したい教育訓練給付制度
海外移住の前に少しでもスキルアップや習い事をして海外生活で活用したいという方もいらっしゃると思います。そのような場合には、教育訓練給付を受けられる可能性があります。
教育訓練給付制度は、原則として一定期間の雇用保険被保険者であれば教育訓練給付対象の講座を受講し、受講料の一部を給付できる制度です。
制度活用の要件のひとつに受講開始日に被保険者である必要はないですが、被保険者資格を喪失した日(退職日の翌日)から受講開始日までの間が1年以内という規定があります。
そのため、退職後でも教育訓練給付制度が使える場合があるので、うまく活用しましょう。
関連サイト:教育訓練給付制度(厚生労働省)
海外に移住すると雇用保険や失業保険はどうなる?まとめ
今回のコラムでは、「【海外移住FPが回答】海外に移住すると雇用保険や失業保険はどうなる?」をご紹介しました。
海外移住後でも雇用保険制度を利用できますが、制度を利用する上で条件があるので、その条件がクリアできるか確認することが大切です。
例えば、基本手当(失業手当)は4週間に1度、ハローワークで失業の認定を受ける必要があるので、簡単に受給できるわけではありません。
さらに、海外の企業に就職しても再就職手当は支給されないので注意しましょう。