海外移住と贈与の関係を知りたい人や、子や孫に学費を支援したい人向け。
近年、海外に留学や語学研修で渡航する子どもが増えています。ただ、海外で生活するとなると学費や生活費などがかかるので、親御さんだけでまかなおうとすると結構大変。
そのような場合は、おじいちゃんやおばあちゃんが孫に学費などを援助してあげれたらいいな、と思っている人も多いはず。
ただ、資産を渡すと贈与税がかかってしまうので、どうなるのか分かりにくいですよね。
そこで、今回は「海外に留学中の子どもに学費を援助したら贈与になる?」をご紹介します。
海外に留学中の子どもに学費を援助したら贈与になる?
原則として、扶養義務者なら教育資金の贈与は非課税です。
それでは、海外移住と贈与の関係をみてみましょう。
贈与税の基本
贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの間に、個人が贈与により取得した財産の価額に対して税率がかけられ課税されます。年間110万円までは課税の対象とならないことは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
さらに、※相続時精算課税制度といわれる生前贈与を活用する場合の適用範囲が、贈与者が現行の65歳以上から60歳以上へ、そして贈受者が現行の20歳以上の子から20歳以上の孫も加えることになりました。
※相続時清算課税制度:生前の贈与税を2500万円まで課さないことにより、贈与を受けた人がお金を使いやすくする経済刺激策のひとつとされています。
海外移住と贈与税の関係
原則として、日本国外財産についても贈与税の課税対象になります。
但し、日本国籍を持つ方で「被贈与人(贈与する人)」と「贈与人(贈与される人)」の両方が10年以上継続して非居住者であった場合のみ、海外の財産に課税されません。
つまり、海外の財産に課税されないためには「贈与する人」と「贈与される人」が共に10年間、海外に生活拠点を移す必要があることになります。そのため、単純に海外移住や海外に資産を移すだけは課税対象から外れることはありません。< 参考サイト:No.4432 受贈者が外国に居住しているとき(国税庁)
3.海外留学をしている子供に生活費や教育資金を渡すはどうなる?
日本では扶養者間で生活費や教育費に充てるため取得した財産には、一般的には贈与税は課されないとされています。
これは海外で生活している子や孫であっても同様の解釈なっているようです。ただし、子どもに住宅の購入費など資産に該当する場合は贈与税が課されます。詳細は税務署または税理士さんにお尋ねください。
近年、「教育資金の一括贈与の非課税制度」が創設されています。この制度のメリットは、相続財産を生前に減少させることができる(生前贈与)ことや一度に多額の贈与が可能であることです。

贈与税はいくらかかるのか?
贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。そして、その合計額から基礎控除額110万円を差し引き、税率を乗じて税額を計算します。
参考サイト:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)(国税庁)
もし、年間110万円を超える贈与が発生した場合には、翌年2月1日から3月15日の間に住所地の所轄税務署に対して贈与税の申告書を提出して、その税額を納付しなければなりません。
参考サイト:【贈与税の申告等】(国税庁)
基本的に扶養義務者が子や孫に教育資金を渡しても非課税になる!
両親や祖父母が海外留学している子や孫に教育資金として援助しても基本的には贈与税がかからないことになっています。ただし、過度の支援や一括で多額の資金を贈与すると贈与税がかかる恐れがあります。
贈与税に引っかかる可能性がある資金や額であれば、税務署か税理士さんに確認することをおすすめします。