海外留学をしている子や孫に学費を援助してあげたい人向け。


最近は、海外留学をする子どもも増え、貴重な海外生活を体験することが当たり前になりつつあります。
そうなると、海外生活の生活費や学費などを祖父母が援助してあげたいと思う人も多いでしょう。
日本国内ならお小遣いとして渡すことができても、海外でも同じように渡すことが出来るか心配になりますよね。
ただ、親だけでなく祖父母が仕送りをすると贈与税がかかってしまうのでしょうか。
そこで、今回は「【海外留学の子供への仕送りは贈与になる?】教育資金の渡し方」をご紹介します。
海外留学中の子どもへの仕送りは贈与になる?

結論からいうと、扶養義務者などなら教育資金の贈与は日本や海外に限らず元から非課税です。
大学や専門学校の入学金や授業料を両親に負担してもらった方も多いのではないでしょうか?
国税庁のホームページによると、「贈与税がかからない場合」として以下の記載があります。
夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの。ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。
さらに、教育資金贈与のQ&A(文部科学省)でも下記の記載があります。
扶養義務者間で,必要に応じて都度支払われる教育費用については,本非課税措置にかかわらず贈与税は非課税です。
つまり、扶養義務者であれば生活費や教育資金は、通常必要と認められるものであればもとから非課税なのです。
この扶養義務者には直系血族である祖父母も含まれるのがポイントです。
ただし、「必要に応じて都度支払われる教育費用」なので、将来のために孫に不動産の購入など多額の贈与すると、贈与税が課されてしまう可能性があるので注意しましょう。
詳しくは、状況により対応が異なる場合があるので、税務署か税理士さんに確認しておきましょう。

子どもにまとめて教育資金を援助する方法

その都度、生活費や学費を援助をするのではなく、まとめて子どもに教育資金を援助する方法があります。
基本的に、まとめて教育資金を援助する方法は、以下の2つです。
- 年間110万円まで暦年贈与する
- 一括贈与に係る贈与税非課税措置
暦年贈与として年間110万円まで暦年贈与する
ご存知の方が多いと思うのが、年間110万円までなら贈与税はかからないということ。
それは暦年贈与と呼ばれ、1年間(1月1日〜12月31日)に110万円が贈与税の基礎控除額です。その使用する目的や贈与する人、贈与される人を限定していないので、申告も不要です。
ただ、年間で110万円を超える資金援助、たとえば海外留学の費用や学校への入学金などの場合はどのように考えればいいのでしょうか?

一括贈与に係る贈与税非課税措置を利用する
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置とは、30歳未満の孫などに直系尊属である祖父母などが教育資金の贈与を受けた場合、1人あたり最大1,500万円までが非課税となる制度です。
贈与の目的は、学校へ入学金や授業料の他にも交通費や生活費なども含まれ、さらに、その内500万円までは現地の日本語補講や習い事といったことに適用されます。
この制度のメリットとしては、以下のとおり。
- 相続財産を生前に減少させることができる(生前贈与)
- 自分の意志で孫などに贈与することができる
- 一度に多額の贈与が可能
少額ずつ必要に応じて援助していると、それが何に使われたのかが明確でなくなりますが、この制度を使うことで明確に教育資金としての贈与が証明されるというのもポイントです。
実は、この制度の利用対象には、海外留学で外国の教育施設に払う学費や渡航費なども含まれるということです。
海外留学のための渡航費はもちろん、学校等に入学・転入学・編入学するために必要となった転居の際の交通費なども対象です。
但し、外国の教育施設の全てが対象になるわけではありません。
その国の学校教育制度に位置づけられている学校(日本の幼稚園,小学校,中学校などに相当する学校)か、文部科学大臣が指定する日本人学校などが対象になります。
つまり、原則として上記に該当しない個人で通う語学学校への留学、海外の学校等に通わないホームステイ、海外ボランティア、海外インターンシップ、ワーキングホリデー等などは原則として対象外となります。
詳しくは教育資金贈与のQ&A(文部科学省)で確認しましょう。
海外留学のための教育資金を援助方法まとめ
今回のコラムでは「【海外留学の子供への仕送りは贈与になる?】教育資金の渡し方」をご紹介しました。
扶養義務者間での教育資金の贈与はもとから非課税なので、特に教育資金の一括贈与制度を使う必要はありません。
「生前贈与」として考慮するなら、一括贈与の非課税措置を検討してみましょう。
但し、制度の利用方法や適用範囲などが細かく規定され、制度の改正があるので注意が必要です。
